山あいの小さなデパート
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今日は田園風景が多く残る御調町(みつぎちょう)に行ってきました。御調町は尾道中心部から車で約30分の場所にあります。今でも自然が多く残るこの場所は人口約7000人弱ののどかな町です。そんな御調町にある【まるみデパート】にお邪魔しました。

スーベニアスタッフが以前から気になっていたまるみデパートさん。
ここは趣きある洋館の中で楽しいひと時を過ごせる非日常空間で、店主さんが日々の暮らしの手仕事をあれこれしながらお客様を出迎えてくれます。
ノスタルジックな雰囲気に包まれた洋館は、門柱をくぐると左右いっぱいにハーブや季節の草木がお出迎えしてくれます。
ゆっくりと扉を開けるとそこには日常からかけ離れた空間が広がっていました。
ハーブの優しい香りと洋館のゆったりとした異世界、玄関先の空間作り、すでにワクワクがとまりません。
スーベニアスタッフが玄関先でわいわいしていると店主の梶高果代さんが笑顔で出迎えてくれました。
2007年頃、梶高慎輔さん、果代さんは夫婦で暮らす家を探していました。そんな時、慎輔さんの故郷である御調を訪れる機会があり、この洋館に辿り着いたと言います。どっしりとした佇まいのこの洋館は大正7年に建てられた築100年以上の建物で、もともとは病院(旧村井醫院)でした。
医院は昭和中期に閉院し、2007年まで約10年ほどは空き家状態、建物に出会った当時は老朽化が激しく近所の子供達からはお化け屋敷などと恐れられていたそう。それでも、この洋館のなんとも言えない魅力に心動かされた梶高さん夫婦は持ち主の方にお願いし、拠点づくりがスタートしました。


洋館を2人の『拠点』とする為にリノベーションを始めた梶高さん夫婦ですが建物の老朽化もあり、自分たちの手でベースのかたちを作り上げるまでに約2年の歳月がかかったそう。その間もここをどんな場所にするのか模索し続けていましたが、作り続けていく中で、御調の魅力や楽しさをこの場所を通して発信したい、ここを”人がつながる場所”にしたい、という思いが少しずつ膨らんでいき、それを軸に洋館の中身が少しずづかたちとなっていきました。そうして約2年の歳月をかけ2012年、旧村井醫院は複合施設【まるみデパート】として生まれ変わりました。『まるみ』とは御調町が尾道市に編入する前に使われていた愛称ですって。なんとも可愛い愛称ですよね。。
まるみデパートはカフェや駄菓子屋、子育てサロン、レンタルスペース、雑貨店など形を変えながら町の人々や遠方の方からも愛される場所となっていき、現在では自家製ハーブを使ったあれこれを販売するもち肌化粧店や定期的なイベントなどを開催する〖人がつながる場所〗へと成長を遂げていきました。


お話を伺った日はオーガニックコットンの糸つむぎとマリーゴールドやローゼルを自然乾燥させている真っ最中で、視界に映るどれもが可愛く、魅力的で堪りませんでした。まるみデパートの裏には川が流れる庭があり季節の野草やハーブなどが自生しています。また、施設内は他にも随所に病院の面影が残る不思議な空間が広がっています。日本になんと2台しか残っていないというレントゲンの機械や、作業台として重宝しているというレントゲン台など貴重なものを見ることができ、独特の空気感を味わえる唯一無二の場所です。


レントゲンの機械
御調の魅力を伝えたい
拠点づくりは順調にいったものの、建物よりそこにいる人が大事なのだと言っていた果代さん。町も建物もそこに人がいてこそ発展があります。魅力ある町なのにそれが最大限生かされていないと感じた梶高さんご夫婦は、建物のリノベーションと同時に【みつぎさいこう実行委員会】を立ち上げます。御調を『再興』して『サイコー』にすることをコンセプトに、御調の魅力を生かした活動や魅力づくりを行っています。まずは町を知ってもらいたいとの思いで、町の事を盛り込んだフリーペーパーを発行し、御調の魅力を発信したそうです。また、仲間を集めて里山を歩くフィールドワークや、自家製ハーブを使ったワークショップなど、里山暮らしを存分に楽しめる企画も不定期で開催しているそうです。私も田舎暮らしにあこがれはあるけれど体験する場所や情報がなかったので、こうした取り組みにとても興味があります。昔、祖父がよく庭の畑でとれた野菜や果物を使って家族に料理をふるまってくれていたのを思い出しました。子どもの頃の私は、小豆の選別などを手伝ったりしそれが非日常ではなく生活の一部でした。時代が移り変わっても、どんな暮らしをするかは自分次第なんだと教えてくれるそんな場所です。


ここでも空き家問題が
尾道では高齢化が進み年々空き家が増えています。ここ御調も、まさにこの問題に直面しているといいます。空き家問題は全国的な課題となっていますが、各々の事情でなかなか前進しない事がほとんどのようです。現在、御調では梶高慎輔さんが代表を務める【一般社団法人みつぎさいこう】が空き家バンクを運営しているそうです。少しずつ問い合わせも増え今年は数件の契約があったといいます。御調は農家も多く田畑付きの空き家もあるのだとか。移住後は御調の地域米を作る米仲間が、農業を優しく教えてくれます。自然と共存したい方や御調を一緒に盛り上げたい方など、まずはまるみデパートで移住の頼れる先輩梶高さんご夫婦に暮らしのいろはを聞いてみてはいかがでしょうか?
余裕のある暮らしを
まるみデパートにはカフェスペースもあります。果代さんのお話を聞きながら『もち肌ブレンドティー』をいただきました。さっきまで薪ストーブの上でぐつぐつと煮立っていたやかんから注がれたお湯が、庭で採れたハーブ達に注がれ一気に色鮮やかな赤に染まりました。美肌に嬉しいローズ・ローゼル・レモンバーベナのブレンドハーブティーです。まだまだ話し足りないくらい御調暮らしのお話しに興味が尽きませんでした。

薪ストーブ

要予約です
コロナ禍もあり、余裕ある空間でリラックスしてもらいたいとの思いで現在は完全予約制となっいて一組限定入店を決めたそう。
好きなこと、好きな生き方をしているという果代さんの言葉が印象的で、いつでも動けるように余裕をもってお仕事をしているそうです。時間に縛られない、無理をしない。余裕を持つ事で出来る事は無限大なんだとか!
”自然にあらがわず、植物の恩恵を受けて暮らしを循環させる”人として心地よい生き方をされている梶高さんご夫婦。こんなにも御調を満喫しているお二人をみていると、田舎暮らしってサイコーに贅沢だと思うのでした。


もち肌化粧店 まるみデパート内
広島県尾道市御調町市1200番地
予約HP https://mochihada.net
OPEN 木・金・土・日曜日
営業時間 10:00~17:00
駐車場 有