尾道の歴史を伝えて-尾道市土堂-

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尾道・瀬戸内のおいしいものたのしいことをお届けするお取り寄せサイト尾道スーベニアです。今日は尾道の海岸通り沿い、福本渡船フェリー乗り場の向かいにある藤本乾物へ行ってきました。藤本乾物の3代目店主藤本有史さんはとってもユニークで尾道愛に溢れている方です。私は、ここ最近の尾道しか知りませんでしたが、かつて海岸通りは海だった事、船が生活の要だった時代尾道は物流の拠点であり「北前船が寄港すると町がひっくり返るような賑わいを見せた」ともいわれるほど繁栄していたそうです。北前船とは、江戸時代の中期から明治中期にかけて大量の荷物を積み日本海を往来していた帆船です。北海道から大阪を結ぶ大型船で、商品を運ぶだけでなく寄港地で売り買いをしながら航海していた商船でした。運んでいたのは荷物だけではなく、その地その地の文化をも運んでいたようです。また、北前船で一攫千金を夢見た船乗りたちの繁栄を象徴するかのように、北前船が立ち寄る港町は発展していきました。尾道もその一つで、豪商により多くの神社仏閣の寄進が行われたそうです。尾道にお寺が多いのも一時代を築いた人々のおかげがあるのだと感じました。

藤本さんに『昔は現在の店舗の目の前は海が広がっておりすぐそこまで船がやってきていた』と伺いましたが全く想像がつきません。海に面した長屋で生活し、祖父の営む乾物屋を手伝いながら育った藤本さん。渋々手伝いをしながらもいつか船乗りになることを夢見ていた少年は、現在祖父の乾物屋を継ぎ尾道の文化を多くの人に繋げる橋渡し役となっています。

独学で尾道の歴史を研究されているそうで、お話を聞きながらとても貴重なものを見せてもらいました。明治37年の尾道のパンフレットです。かなり趣があり、歴史が感じられます。裏には協賛店舗がズラリと掲載されており、今でも営業しているお店がチラホラ!素晴らしさを感じるとともに、尾道の歴史をもっと知りたくなりました。

明治の初め頃には尾道に県庁所在地を移転する計画があったという程栄えていた尾道ですが、国道が開通し船から自動車へと主な交通網が変化するとともに昭和50年ごろから衰退していきました。その後、尾道を題材とした映画が誕生し、現在では観光の町として人気となっています。古い町なのでお祭りも多く、中でも毎年秋に行われるベッチャー祭りは尾道市民俗文化財に指定されている奇祭です。その昔尾道で疫病が流行り病魔退散の祈祷をするようになったのが始まりといわれており、鬼神である「ベタ」「ショーキ」「ソバ」の3体が尾道中心街を練り歩き手に持っている『祝棒』や『ささら』でたたかれたり突かれたり…これには大変ご利益があるのですが、鬼を見たりたたかれたりした子供たちの泣き声が響き渡り町中が大騒ぎ!!そんな臨場感あるお祭りの主役でもある鬼神の役もこなす藤本さん。尾道を盛りあげるのに欠かせない存在のようです。

多くの人で賑わうベッチャー祭り

そんな藤本さんのもう一つの顔は尾道旅のコーディネーターです。さかのぼること約20年前オーストラリアの学生達が静岡の姉妹校と交換留学で日本を訪れた際、知り合いであった先生から尾道の案内役を依頼されたことがきっかけでした。藤本さんは、長年この地で暮らし商売を続けてきたネットワークを生かしたプランをコーディネート。お寺の住職さんに説法を説いてもらい、神社や仏閣の世界に触れてもらう体験や茶道体験では和装姿の先生やお弟子さんにお抹茶を振舞ってもらったり、日本の食を伝える体験では実際にお好み焼きを一緒に焼いて食べたり、時には偶然通りかかった神社で行われていた相撲大会に飛び入り参加してみたり…全てが初めての体験で学生達はとても喜んで帰ってくれたそうです。言葉や文化が違うオーストラリアの学生たちに【尾道らしさを大切にしながら日本の文化を伝え、体験してもらいたい】という思いで考えられたプランは、とても好評でその後も数年に一度行われた短期留学では藤本さんの考案した尾道プランが組み込まれるようになったそうです。現在コロナ禍の為行っていないとの事でしたが、尾道を知り尽くした藤本さんだからこそのおもてなしだと感じます。そして、歴史のある尾道は日本の文化を伝える町としても魅力があるという事に誇りを感じました。

現在は尾道愛に溢れる藤本さんですが、若い頃は目の前が海で後ろが山という閉塞感のある尾道を好きになれなかったといいます。乾物屋を継ぐために丁稚奉公(修行)に行った大阪で尾道の偉大さを改めて教えられ郷土に対する見方が変わったそうです。

現在新型コロナウイルスの影響もあり観光の町でもある尾道は大打撃を受けています。夏の風物詩でもあるおのみち住吉花火まつりはここ数年中止に、その他の祭りやイベントも中止または縮小となっています。活気ある尾道を見てきた藤本さんは、何か新しい産業を創りださなければという危機感を募らせています。

祖父の代から100年以上続く藤本乾物は海産物屋から始まり、乾物屋や食品問屋など時代に合わせた商いを行ってきました。そして新たに海産加工品の販売を始められたそうです。瀬戸内の海産物を使用したふりかけや、瀬戸内のレモンを使用した「パンで食べたいちりめんオリーブ」や「パンで食べたい桜えびオリーブ」など乾物とパンの組み合わせが斬新な商品も登場。今後も様々な商品が続々登場の予感です…!

とてもまじめな内容となりましたが、藤本さんは冗談まじりの軽快なトークが得意な気さくな方です。とっても尾道に詳しいので、観光がてらお話を伺ってみてもいいですね。

有限会社 藤本乾物

広島県尾道市土堂1丁目11-13

0848-22-4920

HPhttps://fujimotokanbutsu.jp/

営業時間 10:00~19:00

定休日 水曜日・第4木曜日

駐車場 無し